介護の仕事は、人と人とが関わり合う仕事です。サービス業とも言われる業種で、そのなかでも接遇が大切とされています。ファミリーレストランの店員や、ブティックの販売員、旅館の従業員などは接遇が第一の職業であることは想像できますが、介護の仕事に接遇やマナーが求められるという理由は想像つかないという人も少なくありません。

介護業務の基本は「人の命を預かること」にあります。身体が動きにくい、判断力が衰えてきたといった高齢者特有の困り事に寄り添うことや、元気に過ごせる期間を1日でも長くするためのサポートを行う業務です。そのなかで利用者の方との信頼関係を構築することで、スムーズな介助が叶います。接遇とは、利用者と介護士間の信頼関係の構築のために必要なことだということを受け止めましょう。また、どんな方でも人間としての尊厳を保つことが求められています。介護士は利用者の尊厳を重視しなくてはいけません。接遇を行うことで、人生の先輩として敬うことにも通じます。丁寧に接することで、利用者の方自身も自分らしく毎日を過ごすことを見いだせるようになると考えられます。

接遇が大切だと言われる理由はこのほかにも、事業所のイメージ向上や利用者やその家族から寄せられるクレームを最低限に抑えることにもつながります。利用者の満足度が向上すれば「また使いたい、看取りを任せたい」などさらなるサポートが求められますし、同業他社との競争力を維持できる環境が整います。このように、利用者や事業所それぞれによい結果がもたらさされるようになるのです。